
日本最大の藩校・弘道館
「水戸の梅まつり」で偕楽園を訪れたら、合わせて訪れてほしいのが水戸藩の藩校・弘道館です。偕楽園は“楽しむ場所”として、弘道館は”文武を学ぶ場所”として、セットで作られたものだからです。
「一張一弛」の思想で偕楽園とともに作られた弘道館
水戸といえば「水戸黄門」というほど、水戸藩第2代藩主・徳川光圀が有名です。そこにもう一人、いっしょに知ってほしい名君がいます。それが第9代藩主の徳川斉昭。弘道館も偕楽園も、この斉昭の「一張一弛」(いっちょういっし)という思想によって作られました。時には厳格に、時には寛容に生きるべきという儒学の思想です。厳格に学問に励む場所が弘道館。藩主から武士、領民までみんなで楽しむ場所が偕楽園だったのです。これは封建的で、厳格さが重んじられていた当時では、かなり開かれた考えでした。


梅香かおる時期の弘道館正庁。重要文化財です。
他藩の藩士にも影響を与えた「水戸学」の拠点!!
1841(天保12)年、水戸藩の藩校として弘道館は開かれました。当時の藩校としては最大規模で、学問・武芸から医学・薬学・天文学などまで幅広い分野の武士教育を行っていました。まるで総合大学と呼べる規模と教育内容で、徳川斉昭の教育への熱意がうかがえます。この弘道館を舞台に「水戸学」が発展し、その思想は吉田松陰や西郷隆盛など多くの幕末の志士にも大きな影響を与えたといわれ、後に明治維新の原動力になっていくのです。

江戸時代の弘道館を描いた鳥瞰図(模写)。その広大さがわかります。

明治8年撮影の弘道館全景写真

現在の弘道館

弘道館の館内平面図
江戸時代は日本最大規模の面積を誇った弘道館。残念ながら幕末の藩内抗争で文館・武館・医学館などを、太平洋戦争では八卦堂・鹿島神社・孔子廟など(現在は復元されています)を焼失してしまいました。それでも中心となる正門・正庁・至善堂は創建当時のまま現存し、国の重要文化財に指定されています。
弘道館で気分は藩士子弟!!
弘道館の館内は、藩校当時の空気感が漂い、一歩入れば、まるで江戸時代にタイムトラベルした気分。ちなみに、弘道館の入学年齢は15歳。入試があり、「論語」や「孝経」などから問題が出題されました。生涯教育を原則とし卒業はなく、40歳以上になると通学は任意とされました。それでは、藩士子弟になりきって館内を歩いてみてください。とくに「水戸の梅まつり」の時期は、満開の梅で囲まれ絶景になります。

DATA
所在地 | 〒310-0011 茨城県水戸市三の丸1-6-29 |
---|---|
問い合わせ先 | 弘道館事務所 TEL:029-231-4725 FAX:029-227-7584 |
利用可能時間 | 9:00~17:00 2月20日~9月30日 9:00~16:30 10月1日~2月19日 |
料金 | 大人400円、小・中学生200円、シルバー(70歳以上)200円 |
休日 | 12月29日~31日 |