冬の大子に魅せられて Spot01〜03

久慈郡大子町
冬の大子に魅せられて
 
茨城県の北西端に位置する山岳地の大子町は、温泉や豊かな里山の風景、レトロな駅前商店街、奥久慈しゃもやこんにゃく、りんごなどの名産品で1年を通じて人気があります。 とくに冬の季節には、日本三名瀑のひとつに数えられる袋田の滝が凍結した「氷瀑」や、久慈川を無数の氷片が音を立てて流れる「シガ」を始め、寒い季節ならではの魅力がたくさん。さっそく冬の大子でお勧めのスポットをご紹介しましょう。
前編
Spot 01
月待 つきまち の滝
10:00
茨城県久慈郡大子町川山
 大子の滝といえば、日本三名瀑のひとつに数えられる「袋田の滝」が有名ですが、この「月待(つきまち)の滝」もぜひ訪れていただきたい人気スポットです。高さ17メートル、幅12メートルと滝の規模は小さめながら、水に濡れずに滝の裏側まで入ることができ、マイナスイオンをたっぷりと浴びることができるスポットとしても人気を集めています。足元に気をつけて岩場を数段降り、数メートル歩けば、誰でも容易に水に触れられるほどの近距離で滝を体感できることから、別名「裏見の滝」や「くぐり滝」などとも呼ばれています。滝の周囲にはたくさんのもみじが植えられており、美しい紅葉を楽しめる秋の眺めもお勧めですが、凍ってつららになった滝水やシャーベット状になった滝壺の様子をつぶさに堪能できる冬場の美しさも格別です。
 滝の形状は、普段は二筋の「夫婦滝」ですが、水量が増えると子滝が現れて三筋の「親子滝」になります。そのため、古くから安産、子育て、開運を祈る二十三夜講(二十三夜の月の出を待って婦女子が集う)の場となり、「月待の滝」と呼ばれるようになりました。なお、滝のすぐ目の前にある「もみじ苑」では、地元産の常陸秋そばを自家製粉した蕎麦を味わうことができます。
  • つらら状になった滝水が注ぐため、滝壺もシャーベット状に。真冬には完全に凍結することも
  • 手を伸ばすと凍った滝水に触ることができる
  • 祈願のお札を供える人も
Spot 02
大子漆八溝塗 器而庵 きじあん
11:00
茨城県久慈郡大子町大子624
EL:0295-72-2775
 「器而庵」は、大子駅から徒歩5分の街中にある漆器を販売する店舗。店のオーナーであり木漆工芸家の辻 徹さんが「大子漆」を使ってつくる漆器のブランド名でもあります。  「器而庵」の器の特徴は、辻さんが「日本最高の品質」と称える茨城県の大子漆をふんだんに使っていること。そして、主として普段づかいを目的としてつくられていることです。  北海道札幌市出身の辻さんは、東京芸術大学大学院漆芸専攻終了後、富山の高岡短期大学木材工芸専攻研究生となり、修了後、茨城県に移住して、1996年に有限会社ウェアウッドワークを設立。以降は、「100年先の未来に続く伝統工芸」を目指して、大子漆を使ったオリジナルの漆器づくりを行うだけでなく、漆の生産・精製まで手掛け、さらには、大子漆の原木の減少や消滅寸前だった漆かき職人の現状を改善すべく、自ら漆かきの技術を修得し、植林や職人の後継者づくりといった活動にも情熱を注いでいます。  温かな汁物が食卓に並ぶ冬の季節にはとくに、漆器の魅力が際立ちます。美しさと実用性を兼ね備え、さらに地域の伝統技術の伝承や地域おこしの期待も担う「器而庵」の器の魅力をぜひ手にとって感じてみてください。
  • 朱漆、黒漆のほか、木目を生かした拭き漆も人気
  • 木漆工芸家、「器而庵」オーナーの辻徹さん
  • 抹茶セット(500円)
  • 抹茶セット(500円)
  • 心落ち着く静かな時間

シンプルでモダンなディスプレイが漆器の魅力をより身近に感じさせてくれる
Spot 03
かくれ里 庄の家
12:00
茨城県久慈郡大子町高田985
TEL:0295-72-5665 ※奥久慈しゃも鍋は要予約
 冬の大子での昼食には、山の上の絶景宿でいただくアツアツの「軍鶏(しゃも)鍋」はいかがでしょう。「かくれ里 庄の家」は、久慈川と水郡線を望む山のてっぺんにある郷土料理店。1組8名まで限定で宿泊も可能です。到着までには車で少々急な細道を上る必要がありますが、着けば、大子の里を眼下に見下ろすすばらしい眺望を望むことができます。オーナーの益子庄次さんがこの店を始めたのは、1993年のこと。「小さいころから両親と農作業にきて親しんでいたこの景色を、独り占めしておくのはもったいないと思い」、店を開くことを決意。過去に就いていた建設業や飲食業などの体験をフルに生かして、建物づくりや庭の整備まで、ほぼすべてを知人の棟梁と2人で仕上げていったといいます。
 「こんな山の上まで来てくれる人がいるのか不安だったけれど、お陰さまでお客様に恵まれました」と30年近い歴史を振り、笑顔を見せる益子さん。
 人気の季節は、新緑が美しさを競い合う春と、見事な紅葉が一面に広がる秋。しかし、囲炉裏にくべられた鍋を囲んで大子名産の「奥久慈しゃも」の滋味を味わうには、冬がいちばん。一面の窓から望む冬枯れの山の風情も加わり、静かで心温まる時間をゆっくりと過ごすことができます。
  • 建物の斜面側は全面ガラス窓で眺望が楽しめる
  • 冬は囲炉裏を囲んで。夏は屋外でも食事ができる
  • オーナーの益子さん
  • 「奥久慈しゃも鍋」の〆にはうどんも

「奥久慈しゃも鍋」は2人前で3,800円。しゃもはいちばん美味しいモモ肉のみを使用

久慈川の上を水郡線が通るこの里山の風景を求めて訪れるカメラマンも多数